「まるで子どものケンカみたい……」
そういうケンカ、昔も見たことがあるよ。
あれは確か、オモチャのとりあいでケンカになったときだ。美代子おばさんに「手でぶったらいけません!」と諭されて以来、おたがいの肩をぶつけあうようになったんだ。手をださなきゃいいだろうって。
樹くんは顔を赤らめた。
「だから言いたくなかったんだよ、僕も楓も」
わたしったら、そうとは知らずに泣いたりして。
「涙を返して」って言いたくなっちゃうくらい。
「で、男どうしの問題とか言ってごまかしているうちに、だんだんその気になってきて、結局、本当に意地の張り合いみたいになっちゃってさ。言霊ってホントにあるんだな」
樹くんは苦笑いを浮かべた。
なあんだ、そうだったんだ。
「男の子って不思議。ヘンなところにこだわるんだね」
「ホントだな」
樹くんとわたしはクスクス笑った。
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