「ケンカ? ウッカリ?」
「うん、肩をこづきあっているうちに……」
「えーっ、そうだったの? なんでそんなことに?」
「原因は、理子だよ」
ドキリとした。
「えっ……」
「楓に言われたんだ。理子が泣いてた、好きならこういうときこそそばにいてキチンと守ってやれ、って」
胸がキュンとした。
楓くん、そんなこと言ってたんだ。
うわあ、顔がにやけてきちゃうよ。
けれど、ロマンチックなのはここまで。
「痛いところを突かれたんだろうな。ムチャクチャ頭にきて、楓の肩をこづいたんだ。そうしたら、こづき返されて。何回かそうやっていたら階段を踏みはずして、楓は僕を助けようといっしょに落ちたんだ」
……何それ。
わたしは、あっけにとられた。
