「こっちこそ、ありがとう。これからもよろしく」
ポンポンとやさしく頭をさわられた。
「うん、うん……!」
重い荷物をおろしたように、からだが軽くなった。
「ほら、はやく行っておいで」
樹くんは、わたしから花びんを受けとると、
「あ、そうそう。ついでに楓に伝えといてよ。退院したら、一発なぐらせろって。それで歩道橋の件は水に流してやるって」
ニヤリと笑った。
まるで楓くんがするような、意地悪そうな笑みだったので。
思わず目がテンになっちゃった。
「ど、どういう意味……?」
首をかしげそうになったけれど、一瞬、空白になった頭にクエスチョンマークが点灯した。ちょ、ちょっと待って!
「ひょっとして、入れかわる原因になった、あの事故のこと……!?」
樹くんは、恥ずかしそうに笑った。
「うん、じつは僕たちケンカしてウッカリ落っこちたんだ……」
