超イケメンなふたごくんは、幼なじみを独占したい 【旧タイトル】ハツコイの誕生日(バースデイ)


 もう、楓くんへのわだかまりはないみたい。

 そのやわらかな笑みを見て、わたしは安心した。

 ところが、

「そのかわり、頼みがあるんだ。告白の返事を今ここで聞かせてくれないかな? これからも理子の幼なじみでいたいんだ」

 樹くんは急にびっくりするようなことを言いだしたんだ。

 まさか……。

 樹くん、わたしの気持ちを知っていたの?

 いつかは返事をしないといけない、と思ってはいたけれど。

 今、ここで?

 わたしは思いきりとまどってしまった。

 樹くんは笑っていない。

 ジッと、わたしを見つめている。

「もう、言えるよね?」

 樹くんは沈黙を破った。

 そのとき、見えない手に背中を押されたような気がした。

 わたしは自分の中の、ありったけの勇気をかき集めた。

 胸の奥の痛みを感じながらも、深くうなずく。

「わたし、楓くんが好き……。樹くん、ごめんなさい。でも、ありがとう……」