「え、えーと、あのね……」
だらだら背中の冷や汗が流れた。
言葉をつなぎながら、脳内のわたしに助けを求めた。
けれど、もうひとりのわたしも手のひらで頭を抱えている。
なんにも浮かばない。
頭の中身は真っ白だ。
うわーん、なんて説明すればいいの?
しばらく迷っていたけれど、もう素直に打ち明けるしかない。
わたしは観念して、ふう、と小さく息をついた。
「今朝のこと……優雨ちゃんに相談したの。樹くんと楓くんのファンのひとたちがよく思っていないから、もう、三人で登校しないほうがいいかなって……。だって、元はと言えば、うちのお母さんが無理を言ってお願いしたせいだもん。中学生になったらやることが増えて、おたがい忙しいうえ、ふたりにも、め、メーワクかけちゃってるし、だ、だから、そのう……というわけで……」
樹くんはふいに立ち止まった。
わたしも歩みを止める。
「樹くん……? どうしたの?」
かすかな不安を覚えてたずねると。
「理子は? おれたちのこと、メーワクに思ってる?」
樹くんは、二回まばたきをした。
