「楓、ありがとう」
どちらからともなく手を差しだし、ふたりは固い握手を交わした。
やっぱり仲のいいきょうだいだ。
おたがいのことをよくわかっていて、深く信頼しあっている。
わたしの自慢の幼なじみだよ……。
やだ、また泣けてきちゃう。
楓くんの意識が戻ったとき泣きすぎちゃって、ウサギみたいに目が真っ赤だった。
「花びんの水、とりかえてくるね」
わたしは病室をあとにした。
ついでに顔を洗ってこなくちゃ。こんな顔、好きなひとに見せる顔じゃないよ。
えーと、ハンカチあったかな。
ゴソゴソとポケットの中を片手で探っていたら、
「理子」
樹くんが病室からでてきた。
「そんなの僕がやるよ。アイツについてやって」
「樹くん、いいの? 楓くんとゆっくり話がしたいでしょう?」
「僕の話は済んだよ」
樹くんはニコッとやさしく笑った。
