「うん」
楓くん、わたしたち楓くんを信じて待ってるよ。
だから、はやくわたしたちのところに戻ってきて……!!
*
やがて楓くんは意識を取りもどした。
きっと、みんなの祈りが届いたんだ。
お医者さまもおどろくほど、みるみる体力が回復していった。
もちろん、樹くんはこうなったいきさつを楓くんに話した。
「すまない、気づいたら飛びだしていたんだ。先のことも考えないで……」
楓くんに向かって深く頭をさげた樹くん。
すると、楓くんはニッと笑った。
「ったく、まいったよ。ひとの体で何やってくれたんだか」
元のからだに戻ったあとも、楓くんはあいかわらずの憎まれ口だ。けど、まんざらでもなさそうだった。
「……たぶん、おれでも同じことした。だから、頭をあげろよ。むしろ、そんなアニキでよかった。アニキはいいことをしたんだ。結果オーライだ」
