「そんなの信じない……。楓くんはわたしを置いていっても、いつもわたしが追いつけるところにいるもん。本当に置いていったりしないもん。だいじょうぶ、ぜったい死んだりしないよ。わたし、楓くんを信じてる!」
わたしは何度も肩で息をつき、やり場のない悲しみを希望に変えた。
「理子……」
樹くんは涙でぬれた目でわたしを見あげている。
わたしはヒザをついて、樹くんの手をにぎった。
「樹くんも、楓くんの力をを信じようよ。楓くんは樹くんを信じていたよ、サッカー部の練習試合のとき……だっ、だから、ねっ、樹くん……」
樹くんは、わたしの手をにぎりかえした。
「……ああ、信じるよ」
コクンと小さくうなずき、わたしといっしょに立ちあがる。
「アイツをひとりにするわけにいかないよな。楓のところに戻ろう」
樹くんの瞳に強い意思が宿っている。
わたしがほしいと思っていた、希望の光だ。
