超イケメンなふたごくんは、幼なじみを独占したい 【旧タイトル】ハツコイの誕生日(バースデイ)


「そんなの信じない……。楓くんはわたしを置いていっても、いつもわたしが追いつけるところにいるもん。本当に置いていったりしないもん。だいじょうぶ、ぜったい死んだりしないよ。わたし、楓くんを信じてる!」

 わたしは何度も肩で息をつき、やり場のない悲しみを希望に変えた。

「理子……」

 樹くんは涙でぬれた目でわたしを見あげている。

 わたしはヒザをついて、樹くんの手をにぎった。

「樹くんも、楓くんの力をを信じようよ。楓くんは樹くんを信じていたよ、サッカー部の練習試合のとき……だっ、だから、ねっ、樹くん……」

 樹くんは、わたしの手をにぎりかえした。

「……ああ、信じるよ」

 コクンと小さくうなずき、わたしといっしょに立ちあがる。

「アイツをひとりにするわけにいかないよな。楓のところに戻ろう」

 樹くんの瞳に強い意思が宿っている。

 わたしがほしいと思っていた、希望の光だ。