そのまま、だれもいないジュースの自動販売機コーナーへと行く。
「どうしたらいいんだ……!」
樹くんは吐き捨てるように言うと、ガクッとヒザから崩れ落ちた。
「僕だけが、僕だけが元のからだに戻ってしまった……! もし楓が死んだら、僕のせいだ……! すまない、楓……!」
わたしはガクゼンとした。
樹くんだけが戻った?
「ウソ……」
頭が追いつかない。
足を踏んばるだけでせいいっぱいだ。
「駅でサッカー部のみんなと別れたあとだったよ……」
弱々しい声で樹くんは語りはじめた。
「横断歩道を小さな女の子が渡っていたとき、スピードを落とさずに車が坂の上からおりてくるのが見えたんだ。あぶないと思った瞬間、僕は飛びだしていた。運良く女の子を助けることはできたけど、頭に強い衝撃を受けて気を失ったみたいなんだ。次に目を覚ましたら、いつのまにか家に戻っていて、僕はベッドの上にいた……」
そのとき、わたしはひとつの事実に気づいた。
