超イケメンなふたごくんは、幼なじみを独占したい 【旧タイトル】ハツコイの誕生日(バースデイ)


「樹くん……」

「理子……」

 サラサラの栗色の髪に、スーッと鼻筋が通った顔立ち。

 真っ青な顔の楓くんは、樹くんであるはずだった。

 でも、その顔を見た瞬間、ドクンと重く鼓動が響いた。



 楓くん……じゃない!



 わたしを見つめる薄茶色のその瞳は、まちがいなく樹くんのものだったんだ。

 ドクン、ドクン。

 ドクン、ドクン。

「ねえ、樹くん、楓くんは……?」

 足の先から、じわじわと冷たい感覚がのぼってくる。

 ドクン、ドクン。

 ドクン、ドクン。

 歯の根が合わないほどの恐怖を必死におさえながら、樹くんを見つめつづけた。

「だいじょうぶ、なんだよね……?」



 しばらくの沈黙。

「すみません、理子に話したいことがあるので、少しのあいだいいですか? 母をおねがいします……」

 樹くんはうちのお母さんに断ってから、わたしを処置室の通路から連れだした。