【楓が事故にあった。病院にいるから、すぐに来て】



 お風呂に入ろうとした矢先、こんなメッセージが届いたんだ。

 なぜか樹くんのスマートフォンからだった。

 これは……?

 いったい、どういうことなの……?

 樹くんは楓くんとして、後藤さんといっしょにいるんじゃ……。

 スマホもとりかえっこして持っているはず。

 何がどうなったのか、わたしは理解できなかった。

 どうしてこんなことに?

 手足が、からだが、ガタガタとふるえた。気が遠くなりそう。

「お母さん、お母さん!!」

 ほとんど悲鳴に近い声でさけぶ。

 すると、血相を変えたお母さんが洗面所に飛びこんできた。

「理子、どうしたの!? 大きな声で――」

「お母さん! 楓くんが、樹くんが……!!」

 お母さんの胸に倒れこむようにしがみつく。