楓くんの目がサンカクになったけれど、

「プーッ、ククッ。アーハッハッ!」

 とつぜん笑いだした。

 胸の底をすくいあげるような風が吹いて、気が晴れてくる。

 うれしかった。

 こうしていると、本当の恋人どうしみたいだね。

 ありがとう、楓くん。

 わたしが歳をとって、この日をなつかしく思うときが来たとしても、きっと忘れないよ。

 この甘くて苦い胸のときめきを。