超イケメンなふたごくんは、幼なじみを独占したい 【旧タイトル】ハツコイの誕生日(バースデイ)


 このまま流されそうでこわかった。

 今「うん」とうなずけば、しあわせが手に入るだろう。

 けど、それはホンモノのしあわせじゃないかもしれない。

 楓くんが樹くんとして、樹くんが楓くんとして生きているかぎり――――。

 わたしはどうしてもうなずくことができなかった。

「ま、まだ返事してないから……樹くんに告白されて……だ、だから……」

 そう、わたしにはやるべきことが残っている。

 だから今は。

「ごめん、なさい……」

「そっか、そうだよな……」

 楓くんはポツリと言った。

「やっぱ、今の聞かなかったことにしてくれ」

「楓くん!」

 わたしは楓くんの広い胸の中に顔をうずめて泣いた。

 楓くんは何も言わずに、わたしの頭をなでてくれた。

 ゴメン、楓くん。

 ゴメンね……。

「もう帰ろう」

 今度は「うん」とうなずいた。



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