もちろん、樹くんは後藤さんもいっしょだった。
「よかったわね、合流できて。ほかのみんなもさがさなきゃ。ねっ、野々村くん」
ふたりは腕を組んだままだ。
わたしの視線に気づいたのか、樹くんは後藤さんの手を外した。
「もういいだろ?」
楓くんに向かって、つっけんどんに言う。
その視線はわたしの肩に置かれた、楓くんの手から離れない。
「うん、潮時だね」
けれども楓くんはニッコリ笑ってそう言うと、わたしのからだの向きを変えさせ、また肩に手をまわした。
「わるいけど、僕たち先に帰るよ。理子が軽い熱中症になったみたいなんだ。くわしい話はそのあとででいいだろ、おたがいのためにも」
虫の居所がわるそうに、ムスッとしたような声だった。
「……ああ、そうだな。おれたち話さなきゃならないことがたくさんありそうだな」
楓くんに負けずに、樹くんもとげとげしい。