やっぱり、わたしたちのしていること、まちがっているような気がする。

「だっ、だから、ちゃんと話しあおうよっ。そうしたら、後藤さんもきっとわかってくれるよっ」

 わたしは必死に訴えた。

「そんなんじゃ、相手に伝わるものも伝わらねーだろ。もし、何もしないでそう思っているんだとしたら、それはただの怠慢だ。楓くん、わたしにそう言ってくれたよ。わたし、一言一句、覚えてるもん」

「本当に樹が好きなんだな……」

 楓くんは悲しそうに笑った。

「もし入れかわってなかったら、理子、今みたいに必死になってくれたか?」

 ざわっと心が揺れた。

 急に逃げだしたい思いに駆られた。

 楓くんから離れようとしたら、ガシッと両肩をつかまれる。

 逃げられない!

「どうなんだ? 理子」

 楓くんが強い口調で聞いてきた、ちょうどそのときだった。

「なんだ、アニキたちそこにいたのか」

 楓くんを演じている樹くんが、東屋に入ってきた。