超イケメンなふたごくんは、幼なじみを独占したい 【旧タイトル】ハツコイの誕生日(バースデイ)


 自分が情けなくなってきちゃった。

 だんだん声が小さくなっていく。

 終いには、何も言えなくなって口を閉じてしまった。

 しばらくすると、楓くんは口をひらいた。

「後藤さんはアニキじゃなくて、おれにほれてれるんだぞ? おれたちの中身が入れかわってることも知らねーんだから、しょうがねーじゃん」

 後藤さんは楓くんを好き。

 樹くんが楓くんでいるかぎり、樹くんに彼女をまかせるしかない。

 そんなことくらいわかっているのに、どこか納得できない自分に気づいた。

「だって、わたし、『しょうがねーじゃん』って割り切れないもん……!」

 わたしは楓くんの服をつかんで立たせた。

「ねえ、後藤さんにしていること、まちがってない? 本当にこれでいいと思う? 自分たちの都合だけで判断していないかな」

「理子……」