わたしは急に恥ずかしくなってしまった。
「ご、ゴメンね。なんか、取り乱して……!」
暑さのせいで頭が混乱してしまったらしい。
樹くんと楓くんをまちがえちゃった。
「はあー」と落ちこんでいると、ポンポンと頭をやさしくなでられた。
「気にすんな。ほら、口をあけろ」
「?」
言われたとおり「あーん」と口をあけたら、楓くんは何かをポイッと入れてきた。
あっ、塩あめ!
「お、おいひい……」
口をモグモグさせているわたしを見ながら、楓くんは目を細めた。
「もう平気か?」
楓くんは、わたしが話ができる状態になるのを待っているんだ。
どんな話だろう。
「う、うん……」
小さくうなずく。
楓くんは「ふうー」と深く息をはいた。
「じつはさ、五月くらいのとき、後藤さんに告白されたんだ」
やっぱりと思った。
