楓くんもわたしを探してくれていたんだ。
わたしは鼻をすすりあげた。
見あげると、楓くんはハッと息をのんだ。
目をそらし、わたしをパッと離す。
「はあ~、GPSさまさまだぜ。それより、はやくどこかに行こう」
楓くんはなんだかあわてているようだった。
「どうして?」
「おれとおまえが樹のそばにいると、いろいろと都合がわるいんだよ。説明するから」
楓くんがわたしを広場から連れだしたので、樹くんと後藤さんの姿も見えなくなった。
しばらくそのまま歩いていると、だ円形の小さな池のほとりにでる。
「ここならいーだろ、日陰になってるし」
楓くんは東屋のベンチにわたしをすわらせると、リュックから水筒を取りだす。
「熱中症になりかかってるんだ。飲め、ゆっくりだぞ」
「うん……」
わたしは目の前に差しだされた水筒のお茶を飲んだ。
からだも心も生き返るようだった。
