超イケメンなふたごくんは、幼なじみを独占したい 【旧タイトル】ハツコイの誕生日(バースデイ)


「ちがうよ、樹くんはここにいるもん……か、楓くんは向こうで……」

 くやしい気持ちがわいてきて、あとからあとから涙がこぼれた。

 息が苦しくて、言葉をつまらせながらもそう言うと。

「おれはどうかしてた。あんなこと頼むんじゃなかったよ。自分でなんとかすべきだった。ゴメン、泣くな。全部おれのせいだから…うらむなら、アニキじゃなくておれにしろ」

 ギュッと力いっぱい抱きしめられたんだ。



 ドキン。ドキン。

 早鐘のように伝わってくる心臓の音。



 ドキン、ドキン。

 ボンヤリしていた頭がハッキリしてきた。



 わたしをつかまえ、まっすぐな強い視線で見つめてくる、この男の子は――。



「楓くん! 楓くんだ……」

 わたしはポカポカと楓くんの胸をたたいた。

「バカバカ、どこに行ってたの? ひとりで心細かったんだよ!」

「どこって、アイスを買いに行ってたんだよ。おまえがよろこぶと思って! 戻ったらいねーから、心臓が止まるかと思った……!」