何を考えているの?
後藤さんといっしょにいるのは、楓くんだけど楓くんじゃない。中身は樹くんだよ。
今までわたしといっしょにいた樹くんの方が、楓くんなんだから!
理子、シッカリするんだ。
それでも不安は拭えなかった。
ジリジリ、日差しが肌を焼きつけてくる。
ジーッ、ジーッ。
どこかでセミも鳴いている。
暑くて何も考えられないよ……。
楓くん、楓くん。
わたしを置いて、どこに行ったの?
ゾウの檻から離れ、フラフラした足どりで行く当てもなく歩きつづけていたら、三段重ねの噴水がある広場に、いつのまにかたどり着いた。
噴水を中心にして放射線状にのびた遊歩道。
その遊歩道をはさむように植えられている木々。
休憩できるように、ベンチもいくつか置かれている。
いくぶんか暑さがやわらいだような気がした。
なんかつかれた……。
