スマホを取りだして、カメラをかまえる。
えへへ、うまく撮れた。
今撮ったばかりの写真を楓くんにも見てもらおうと、「ねえ、楓くん……」とふり返った。
けれど、楓くんの姿はなかった。
あれ? 楓くん、どこに行ったの?
てっきり、近くにいると思っていたよ。
ゾウの写真を撮るのに霧中になっていたわたしにあきれて、どこかちがうところに行っちゃったのかな。
ううん、そんなはずない。今の楓くんは樹くんなんだもん。
樹くんは、そんなことしないもん。
楓くんだったら、するけど……。
置いていかれたら、追いかけていけばいい。
でも、どこに行ったかわからないときはどうしたらいいんだろう。
ポトッと心の中にシミのようなものが落ちて、だんだん広がっていく。
まさか、後藤さんと……? と、考えそうになって。
わたしは頭をプルプルとふった。
