「ねー、場所わかってる? 地図、見なくていい?」
「この坂をくだったところだろ? さっき見た」
「えっ、すばやい! いつのまに!」
「理子がのろまなだけ」
「のろまじゃないもん! ちょっとひとより遅いだけだもん! いつもそう言ってるでしょ、楓くん」
プンスカと文句を言ったら。
「あのさ、理子。どうでもいいけど、歩きにくい」
チラッとこっちを見る。わたしは楓くんの左うでを、つかんだままだったんだ。
楓くんはずっと前ばかり見ていて、耳のふちがほんのり赤かった。
ひょっとして照れてる……?
わたしはうれしくなった。
それって少しは女の子として、わたしを意識してくれているってことだよね……?
「また置いていかれたらイヤだもん。どうでもいいんだったら、このままでもいいでしょ?ねっ、い、つ、き、くん!」
下から楓くんの顔をのぞく。
「フン、勝手にしろ」
「うん、勝手にするもん」

