動植物園のエントランスで、サッカー部のひとたちと合流することができた。
それでも何人かは欠けていたらしい。樹くんと後藤さんもその中に入っている。
「この人混みの中から全員を見つけるのは厳しそうだな。十二時に花時計の前にいったん集合しよう。ここにいない連中にはグループトークで声をかけとくよ」
リーダーっぽい男子がそう言うと、みんなも賛成した。
「どっから見る?」
「ゴリラのとこ、リニューアルしたばっかだって」
「わたし、ふれあい広場がいいなー」
「あたしも! えさやりしたい!」
みんな、行きたいところがバラバラだ。
解散したら、それぞれ目的の場所へと移動をはじめる。
樹くんと後藤さんの行方が気にならないわけじゃないんだけど、
「わたしはゾウが見たいな~、楓くん」
と言ってみる。
「ああ」
楓くんは短く返事をすると、迷うことなく歩きはじめた。
