いきなりのその態度にびっくり。わたしは目をパチパチさせた。
自然に笑みがこぼれた。
フフッ、それでこそ楓くんだ。
わたしを平気で置いていくんだもん。
置いていかれたら、追いかけていけばいい。
「待ってー!」
わたしは楓くんの背中に追いついて、うしろからギュッとうでに抱きつく。
「り、理子!?」
わたしの行動はおどろかせちゃったみたい。
楓くんは、すっとんきょうな声をあげた。
「おい、やめろって」
嫌がって、身をよじった楓くん。
「なんで?」
「人前だろ」
わたしは、その返事にきょとんとした。
「楓くんって、意外と常識ぶったところがあるんだ」
「うっせー。意外とじゃなくて常識人なんだよ、おれは」
「ウソばっかり! ずるい! ひとりだけいい子ぶって!」
「ウソでもないし、ずるでもないし、いい子ぶってもいない、つーの」
あーだこーだ言い合いしながら、進んでいくと。