超イケメンなふたごくんは、幼なじみを独占したい 【旧タイトル】ハツコイの誕生日(バースデイ)


「うっす、後藤さんも来たんだ?」

 樹くんが彼女に向かって返事をした。

「来たんだ、ってひどいよー。野々村くんったら――」

 さくらんぼ色のくちびるから、花のように笑みがこぼれる。

 冷たい水を頭からかぶったような気がした。

 え、この子、だれ……?

 樹くんに「後藤さん」と呼ばれた女の子は、わたしと楓くんを見た。

「おれのアニキの樹、と……幼なじみの理子」

 樹くんは彼女にわたしたちを紹介してくれた。

「んで、こっちは後藤さん」

 つづけて、樹くんは彼女をわたしたちに紹介すると、彼女はニッコリほほ笑んだ。

「サッカー部マネージャーの後藤ひよりです。よろしくね」

 後藤さんの丸みを帯びた女の子らしい頬が、つややかに光っていた。

 すべすべとした肌、ちょっと指先でつまんだような鼻先、長いまつげにふちどられた瞳。

 わたしとちがって、神さまが特別に丹精をこめたみたい。