「ばっ! バカヤロー、いーかげんなこと言うんじゃねー!」
楓くんは樹くんに食ってかかった。
「いいかげんじゃないよ。おまえ、理子が出てきた瞬間、ポケッとしてたぞ。それからずっと、チラチラ見ていたし」
「そんな言い方、おれがのぞき魔みてーじゃん!」
「いや、楓はのぞき魔じゃない。理子がかわいすぎるからだって、僕にもわかってるから安心していいよ」
「おれの顔じゃなかったら、その横っ面はったおす!」
へんてこりんな口ゲンカかはじまってしまった。
わたしはというと、プシューと頭から湯気がでちゃいそうなほど、ますます恥ずかしくなっちゃった。
「もーう、ふたりともやめてよ! ご近所メーワクだよっ」
こんな調子で、今日だいじょうぶかな。
なんかわるい予感しかしないよ……!
*
待ち合わせの駅の改札口にいくと、サッカー部のひとたちはすでに集まっていた。
