優雨ちゃんの目がいたずらっぽく輝いている。

「なあんだ、気づいていなかったんだー。まさか、言葉どおり受けとっていたの……?」

 なんて答えたらいいかわからなかった。

 まさしく、その通りだったからだ。

「え、えーと……」

 思わず考えが顔にでちゃったみたい。

 優雨ちゃんはクスクス笑った。

「それに楓くん、ファンの子たちを怒ってくれたんでしょ? 樹くんもカバン持ってくれたんだよね? いいなあ、理子ちゃん。イケメンにかしづかれちゃってさ。うらやまー!それはやっかみを受けてもしょうがないかもね~」

 困ったなあ。

 こんなとき、どんな返事をすればいいんだろう。

 ううっ、わからない……。

 すると、優雨ちゃんの顔が、わたしの視界いっぱいにずいっと迫ってきた。

「それで理子ちゃんは? どっちが本命なの? 樹くん? 楓くん?」

「!」

 思わずゴホゴホと咳きこんでしまったわたし。

「ふ、ふたりともっ、幼なじみ、だから……ッ!」

 胸をトントンたたきながら、なんとか返答する。

「またまた~! 理子ちゃんったら、そんなこと言っちゃって~! ほら、はくじょうしなさいっ!」

「ゆ、優雨ちゃんってばー!!」

 ガタタッ。

 わたしがイスから立ちあがったのと、ほとんど同じタイミングで予鈴が鳴った。