「あのさ、さっき聞いたばかりなんだけど、今度の休みにサッカー部の一年で遊びにいくことになってるんだって? 楓と理子もいっしょに行かないか?」
これっぽっちも予想していなかった申し出に、わたしはびっくりした。
「わたしも?」
「あー、忘れてた……」
気まずそうなつぶやきが、わたしの耳に届いた。
楓くんは、あまり気が進まない雰囲気だ。
わたしもそう。こんな気持ちを抱えたまま行けない。
「でもサッカー部の集まりなんでしょう? わたしたちは部外者だし、やめとくよ。ねっ、楓くん」
「あ、ああ……」
楓くんも同意してうなずく。
けれども、樹くんの方は引き下がらなかった。
「えんりょなんかしなくてもいいんだよ、ふたりとも。じつは、もう話はつけてあるんだ。楓だって仲間たちと遊びたいだろ?」
楓くんの気持ちを考えたうえでの行動だったんだ。
