超イケメンなふたごくんは、幼なじみを独占したい 【旧タイトル】ハツコイの誕生日(バースデイ)


「!」

 わたしはハッとした。

「あのさ、おまえアニキのどこが好きなわけ? 性格? 顔? くわしく言ってみろよ」

 楓くんが、たたみかけるように質問してくる。

「本当の正直な気持ちは、どうなんだ?」

 心臓がドキドキ音をたてていた。

 わたしをとらえて離さない、まっすぐな瞳。

 樹くんの姿をしているけれど、樹くんじゃない。

 中身は、まぎれもなく楓くんだ。

 やめてよ、楓くん。

 樹くんの顔で、そんなふうに見つめてくるなんてずるいよ……!

 心のなかをのぞかれたような気がして、かあっと頭に血がのぼった、ちょうどそのとき。

「理子!」

 わたしをよぶ声がした。

 見ると、樹くんがサッカー部の仲間とわかれ、こっちに走ってやってくる。

 この話題から逃げられる!

 わたしはパッと制服のスカートをひるがえし、樹くんのもとへ駆けていった。

「樹くん、おつかれさま! 試合すごかった! 大活躍だったね!」

 動揺をかくしてニコッと笑顔を向けた。