超イケメンなふたごくんは、幼なじみを独占したい 【旧タイトル】ハツコイの誕生日(バースデイ)


「楓くん、必ず元に戻れるよ。だから、そんな顔しないで、ねっ?」

 わたしはできるだけ明るく、風の音に負けないように大きな声で話しかけた。

「けど、おれたちが元に戻ったら、おまえアニキとつきあうんだろ?」

 楓くんが、わたしをのぞきこむ。

「えっ」

「樹のこと、好きなんだろ?」

 こんなところで、こんなときに?

 わたしは、とまどってしまった。

 樹くんのことは好き。大事な幼なじみだ。

 でも、そんなカンタンに言えないよ。

 だって今のわたしは、楓くんが好きだと気づいているから。

「好き」という言葉の重みを知ってしまったから。

「……わかんない。そのときになってみないと」

 細く、かすれた声にしかならない。

 ウソをついちゃった。

 それでもキチンと質問には答えた。

 なのに、楓くんのコブシが木の幹を軽くたたいた。

「なんなんだよ、それ。おまえさ、本当にアニキが好きなのか?」