なんて声をかけよう。ここはやっぱり「おめでとう」かな?
んー? 練習試合なのに、ちょっと大げさかなあ。
でも樹くん、初の試合だったのに大活躍だったもんね。「おめでとう」って言っていいよね? はやく来ないかな……。
アレコレ考えていると、やっとサッカー部のひとたちがスポーツバッグを抱えてグラウンドに出てきた。樹くんを囲んで何やら楽しそうにワイワイやっている。
まだ、ミーティングの続き?
みんなリラックスした顔をしているから、そんな感じじゃなさそう。
ただ、仲間内だけでしゃべっているだけっぽい。だったら長くなりそうだなー。
すると。
「……なんか、鏡を見てるみてー」
楓くんは、彼らを見つめながら、ひとり言のようにつぶやいた。
さびしそうな横顔だった。
わたしは、胸の奥がキュッとしめつけられて。
そのとたんに、なんとかしなくちゃという思いがこみあげてきた。
