ふるえる胸からあふれるように、言葉が自然にこぼれる。
「楓くん……うん、そうだね。そうだよね……?」
わたしは何度もうなずいた。
楓くんの言うとおりだ。わたしも樹くんを信じる。
目をそらさずに、最後まで見届けるんだ。
そう決意して、再びコートに目をやったとき、ピーッとホイッスルが鳴った。
樹くんのフリーキックだ。
わたしはフィールドに向かって大きな声でさけんだ。
「が、がんばって!」
うまくボールが通って、ついに相手チームのゴールにボールが飛びこんだ。と同時に、試合も終了。
「……入った! 樹がやったぞ、理子!」
楓くんは、わたしのからだを揺らした。
胸が熱かった。樹くんがやってくれたんだ。
みんなの歓声があがる中、わたしは大きく手をふった。
「樹くーん!!」とさけんだ次の瞬間、サーッと血の気がひいた。
ひええ、ちがった!
