「理子、どうした?」
楓くんの声が、わたしの上に落ちてくる。
「わたし、おかしいの。見ているのがこわいんだ。楓くんの応援にいったときは、こんなふうに思ったことなんて、いちどもなかったのに……!」
なぜだか入院していたときの、頭に包帯が巻かれベッドで眠っていたふたりの姿がちらついた。こわくて、あまりにもこわくて、心臓がドキドキする。
あのときの不安がよみがえってきそう。
わたしは楓くんのうでをさがした。
「樹くん、大ケガをしたらどうしよう! また意識を失ったら……!」
今度こそ目覚めなかったら?
「信じろ!」
楓くんは、力強くわたしの肩をグッと抱きよせた。
「アニキならだいじょうぶだ。好きなんだろ? 信じろよ。おれは信じる」
わたしをとらえた楓くんの目は、やさしく笑っていた。
楓くんの手は、わたしをシッカリと支えてくれていた。
