がんばって、樹くん……!
ピ――――――ィ!
試合開始を告げるホイッスルが、グラウンド中に響きわたった。
キックオフ。
前半の滑りだしは、まずまずって感じ。
フォワードの活躍によって、先取点をとれた。
「キャー!」
「野々村くーん!」
観客の女の子たちから、さまざまな応援の声があがる。
けれども、わたしはただ、見ているだけだった。
樹くんがコートの中を走りまわっている姿を、目で追うことしかできなかったんだ。
あっというまに相手チームが一点を取りかえすと、切ないため息が観客たちからこぼれた。
「ドンマイ、これからだ!」
うなだれかけたチームメイトたちに、樹くんの声が飛ぶ。
「お、おう!」
試合は再開された。
*
前半が終了し、後半開始のホイッスルが鳴った。
ここまでの得点は、一対一。パスがなかなか通らなくて、シュートチャンスをよぶことができなかった。ボールはとったり、とられたりだった。
