「もういいもん、楓くんなんか知らない! 樹くん、ちょっと休もうよ」

 けれど、樹くんは首を横にふった。

「理子は休んでて。僕はもう少しがんばるよ」

 とつぜん、わたしの頭にタオルが急にふってきた。

「いつまでも遊んでないで、おれもやるか! 理子は休んでろ!」

 楓くんが樹くんのもとへ走っていく。

 夕日に浮かぶ、ふたつのシルエットを見つめた。

 これから何度だって、つらいことが山ほどあるにちがいない。

 そんなときは、このキレイな夕日を思いだそう。



 優雨ちゃん、ゴメンね。

 いっしょうけんめい応援してくれたのに、わたし、負けちゃったみたいだよ……。