少しわかりにくいだけ……。
胸の奥でキュンと小さくときめいた。
そのとき、わたしだけのたからものを見つけたような気がしたんだ。
楓くんが好き。
わたし、楓くんのことが好きなんだ――――。
*
そんなわたしの気持ちを知らない楓くんは容赦ない。
「理子! あいかわらずニブイな。からぶりばっかすんじゃねー!」
立っているだけでいいって言ったのに、結局わたしにもボールをまわしてくるんだもん。
「急にやれって言う方が無理だよ~」
わたしが情けない声をあげたら、楓くんはおなかを抱えて笑った。
むうっ! バカにしてっ。
お礼なんて言うんじゃなかった。
前言撤回してやる~!
