「まあな、おれの教え方がいーから」
楓くんはいばってそう言った。でも、耳たぶが少し赤くなっていた。
フフッ、楓くんも照れているんだ!
わたしもふたりといっしょに笑おうとしたけれど。
あっ、すぐに許しちゃダメだった!
あわてて頬を引きしめ、口をへの字の形にする。
「それはそうと、どうして呼びつけたの? 何をしたいの? 言っとくけど、わたし怒っているんだよ」
質問をぶつけたら、楓くんがフンと鼻先で笑った。
「ふたりだとディフェンスをはさんだ練習ができねーだろ。だから、おまえをよんだってわけ。かかしみたいにボンヤリ立っているだけでも、いねーよりマシだからな」
「はあ? 何それ!」
また、わたしを怒らせるようなことを言ってる。
ぜんぜん反省してないじゃーん!
わたしが反論しようと口をひらきかけたら、「まあまあ」と樹くんがわたしたちのあいだに入ってきた。
