その日は結局、樹くんと楓くんにいちども会わずに学校での時間を過ごした。

 ひさびさに訪れた、のんびりと平和なひととき。

 家に帰ってお昼ゴハンを食べて、夕方になるまで配信のアニメを観て、お風呂に入った。

 でも悩みが解決したわけじゃない。ふたりが元に戻ったんじゃないもん。

 わたしは、ただ、現実から目をそらしているだけなんだ。

 ふたりと会わずにいることで、自分を守ろうとしているだけ。

 なんてズルいんだろう。

 樹くんと楓くんは逃げたくても逃げられないのに、わたしは逃げてしまったんだ。

 なんかつかれたな……。

 お湯の中でボーッとしてしまった。

 あ、いけない。のぼせてしまいそう……。

 お風呂からあがって、スマートフォンを手に取ってみると、メッセージが来ていた。

 ドキッとした。樹くんと楓くんだ。

 いつもなら、すぐメッセージを見るのに。やっぱりためらってしまう。