「楓くん!」
「理子、口をだすんじゃねー。おれと樹、男どうしの問題だ。だろ、アニキ」
樹くんも楓くんもキリキリと張りつめていて、眉の下のまなざしが刺し違えるかと思えるほど鋭かった。
事故のせいでふたりが入れかわってしまっても、何も変わらなかった。
ううん、以前とまったく同じようにふるまおう。
三人でがんばろうって思っていた。
けれど、それはわたしの思いあがりだったんだね。
しょせん、わたしは蚊帳の外。
何を言ってもムダなんだ。
ふたりだけで決めてしまうんだ。
わたしは悲しい気持ちで、すっくと立ちあがった。
「「理子」」
とつぜん立ちあがったわたしに、ふたりは何事かとやっと目を向けた。
こうでもしないと、わたしの話を聞いてくれない。
いらだちがくやしさに変わっていくのが自分でもわかる。
「おっ、男どうしの問題って何?」
わたしはキュッとゲンコツを握りしめた。
