「弟がずっと努力してきて、つかんだチャンスだからね。兄としても、できるかぎりのことはしてやりたいんだ。それに」
そこでいったん句切って、樹くんはニッと笑った。
「楓にできるんだ。僕にだってできると思わないか? ふたごのきょうだいなんだし、僕たちのあいだに、そんなに差はないはず。それを証明してみせるよ」
わたしはドキリとした。
その笑みは、まさしく楓くんそのものだったからだ。
首をひねって楓くんの表情をうかがうと、楓くんはくちびるをかみしめていた。
樹くんに圧倒されているようだった。
おねがい、楓くん。
樹くんのためにも断って……。
わたしは祈るような思いで、楓くんの答えを待った。
けど、わたしの祈りは届かなかった。
楓くんは「ハッ」と短い息をはいた。
「弟として、すげーありがたいね。泣けるほどだよ。こっちとしてもできるだけブランクを作りたくねーからな。おれも助かるよ。そんなカンタンにやれるって言うなら、ぜひやって見せてほしいもんだな」

