楓くんの部屋に集まったわたしたち。
「もう決まったことなんだ。事後報告になってわるいけど」
樹くんは迷いのない声で、キッパリとそう言った。
反対におどろいたのは、わたしと楓くんの方だ。
「サッカー部の試合、どうしても出場しないといけないの?」
わたしは聞きなおした。
楓くんも身を乗りだすように、樹くんにからだを向ける。
「樹、マジかよ。本気で言ってんのか? おれは、樹がおれでいるかぎり休んだっていい。前、そう言ったはずだぜ」
「そうだよ、樹くん。サッカーは激しいスポーツなんだよ。ぶつかってケガすることだってあるんだよ。そんなことくらい、もちろん樹くんだって知ってるよね?」
樹くんの相談とは、サッカー部の練習試合に出場したいので、そのために個人練習しておきたいってことだった。