ドキッと心臓が大きくはねた。

 もしかして今の話、聞かれた……?

「樹?」

 わたしの声で気づいた楓くんも、自分のうしろをふり返る。

「なんだ、あんまり遅いから理子を迎えにきたら……楓もいたのか」

 樹くんは、わたしだけを見つめてニコッと笑った。

 楓くんの姿だけど、以前と変わらない、おだやかな笑顔だった。

「話なら、うちで。アイス溶けるよ、楓」

 でも、その声にどこか冷たい感じがする。

 楓くんもだった。

「ああ、わかってる」

 うなずいて歩きだし、樹くんの横を無言で通りすぎていった。

 樹くんは楓くんの背中を見送ってから、

「理子もおいで」

 わたしをよんだ。

「うん……」