楓くんは、わたしに何かあったんじゃないかと怪しんでいるみたいだ。
困ったな。
理由を話すわけにいかないし……。
「あ、うん、あのね」
わたしは、迷いながらも口をひらいた。
「樹くんから相談があるってメッセージをもらったの。いまからそっちにおじゃまするところだったんだけど……」
「樹、おれにも相談があるって言ってたな。理子もよんだのか……」
楓くんは胸の前で両腕を組む。
「フーン、それで?」
「それで、って……それだけだよ」
すると、楓くんは、わたしの視界の真ん中に、自分の顔を持ってきた。
「ごまかすなよ、それだけじゃないだろ。ぜんぜん説明になってねーじゃん。なんか、あったんだろ? そのせいで、おれを見てびっくりしたんじゃねーのか?」
