知らず知らずのうちに私、先生のこと頼りにしてたんだ。

そう気づいて、久しぶりに歌衣くんの前で泣いた。

「ううう⋯歌衣くんっ…ぐずっ…ごめんね…こんな情けない妹で⋯」

耳の痛みなんて感じなくて、私は歌衣くんの胸にとびこんだ。

最初はおどろいてたみたいだけど、歌衣くんは私の頭を優しくなでてくれた。

「恋衣…俺がいなくなっても大丈夫⋯?」

「ぐずっ…ん。
がんばる。」

「恋衣…ごめんね⋯」

それから歌衣くんは私の耳を消毒してくれた。

ずきずきと痛みはあったけど、私はそれよりも心がいたかった。

心暖のことも、お母さんのことも、すっかり忘れてた彼のことも⋯。

小さな不運が重なり、やがて不幸となる。

次の日の朝、私が起きたときには茉衣ちゃんも歌衣くんも家にいなかった。

今の私は不運どころじゃない。


不幸だ。