「日向さん、ちょっと」

次の日の1限目。

数学の授業前に、魚島先生に呼ばれた私。

「何ですか?
あ、議案書は今日の放課後までに――」

「そうじゃなくて」

先生は小声で私に顔を近づけて話し始める。

「3組の平《たいら》さんに、ノートを渡してくれたでしょう?」

平さんって、平 結花《ゆか》ちゃん、だよね?

結花ちゃんこと、平 結花ちゃんは、1年生のときに仲良くなった女の子。

最近、不登校になってるらしくて、私の書いた漫画を結花ちゃんに渡してもらった。

⋯魚島先生に。

結花ちゃんがどうしたんだろう?

「平さんがそのノートを見て、学校に行きたいって思ったらしくて。
別教室ではあるんだけど、日向さんに昼休みとか会いに行ってほしい。」

私が、そんな大役をつとめてもいいのかな⋯?