「ーーえ、じゃあ仲直りできたの?」

「うん。そ…だと思うけど…」

「けど?」

その日の夜9時。

家に帰ってお風呂まですませた私は机で数学のワークをひろげていた。

先生は後ろのソファに座って私の話を聞きながらスマホをいじっている。

「けど…心暖がグループ抜ければ?とか…全部言ってたの…本音なんじゃないのかなって…。」

「そうは思ってないって言われたんでしょ?」

「うん、言われた。…でも私…まだ素直になれてないみたいで…」

はああ、と机につっぷした私。

「別に素直になろうとしなくてもいいんじゃない?」

「え?」

むくっとおき上がった私は先生の方を見た。

「俺に葉羽さんのこと教えてくれたじゃん?
今頑張って素直になろうとしなくても、そうやって自然と素直になれるよ、日向さんなら。」

今、無理しなくていいってこと?

そう言うことだよね?

「私、いつかみんなのこと100%信用できるようになるのかな…?」

葉羽ちゃんのことがあってから、何かみんなのこと心のどこかで信用できてない自分がいた。

「できるよ。日向さんは少しずつでも過去のことも今のことものりこえてるんだから…ね?」

でもたしかに私は自然と心暖に葉羽ちゃんのこと言えたし、そうなのかなあ。

「…ふふっ…。そうかなあ。」

「うん、そうだよ。」

ここ1週間で私にとってすごく大きな変化があった。

彼氏と別れて気分は最悪だった。