絶対にずっと好きだと証明しましょう

これから見る予定の映画はすでにシートを予約している。
樹の口調がいつものようなトーンなら気にならないが、今日はどこかひんやりしていて楓は怖かった。

「そんなことないよ。樹の方こそなんか疲れているみたいだけど」

樹は昨晩、ユーゴの手料理を食べすぎたのと飲み過ぎたのと、そしてユーゴから思いもよらない告白を聞いて、胃腸も心もぐったりもったり疲れていた。
しかしそんな様子を見せているとは気づいていなかったので「そうか、ごめん。ちょっと疲れてるかも」と素直に謝った。

「今日はやめとく?」
楓の方から心の中ではそうならないで欲しいと願いながら聞いてみた。

「キャンセルしたいの?」

問いが元に戻る。
私がキャンセルしたいわけがないじゃない。
樹の屈託のない、カンの悪い再びの問いかけに楓は少しイラっとしつつ「私は見たいけど、樹が行きたくないのなら」と、珍しく強い口調になった。
すると以外にも樹はあっさり「僕も行きたい」というので拍子抜けした。

「よかった」

楓はこの日初めて笑みがこぼれた。