大学4年になるとすぐ就活情報が解禁になる。
就活本番、企業への資料請求やエントリーをバンバン行い、それから書類審査に通れば面接になる。
社会人生活の第一歩がかかっているので呑気な楓も必死である。
毎日着慣れないリクルートスーツに、ローヒールとはいえ履き慣れないパンプスで歩き回るだけでへとへとだった。
一方、インターンをしていた外資系企業ですでに内定をもらっていた樹は早々と卒論の作成に取り掛かっていた。
健夫は美幸と同じ会社に入るのが目標だったが、美幸が入社した化粧品メーカーに全く興味がないのでどうしたものかと今さら悩み始めている。

10月になり、楓は第一志望だったバイト先の会社から内々定をもらった。
会社でのバイトは就活に専念するため「社員として戻ってこられれば嬉しいのですが」と挨拶して昨年末にやめていた。
バイトを紹介してくれて面接の相談にものってくれたユーゴに「御社で内々定もらいました。戻れそうです!」と連絡すると「おめでとう! 就職祝いをしよう」と、すぐに返信が届いた。
「ダブルデートはなしということで」と書こうとおもったが、冗談にならないのでやめておき「いろいろとアドバイスをして頂いたおかげです。有難うございました!」と打って返した。