4年間の大学生活は長く思えるが、のほほんと過ごせる時間は意外と少ない。
あっという間に就職情報が解禁になり、3年生は本格的な就活シーズンになる。

楓は企業のOB、OG訪問をぽつぽつスタートし、短期のサマーインターンシップにも応募した。
昨年からユーゴの会社でバイトしていることが仕事内容をイメージするうえで役立っている。
社内の雰囲気も好きだし、今やらせてもらっている仕事も好きだし(まだ雑務がメインだとしても)、楓はできればこのまま就職したいと考えているが就職したい会社ランキング上位にランキングされる人気企業だ。
そう簡単にはいかないだろう。

健夫は美幸から就活術をいろいろ伝授され、素直にそれに従っている。
「親父のコネがあるから就活はいらない」と豪語していたのに、美幸と同じ会社に入るという新たな目標に向かってせっせと企業研究に取り組み、勧められたOB、OG訪問にインターンシップの応募など、楓以上に真摯に就活に励んでいる。
とはいっても美幸もまだ就活中でどこに入社できるかはわからない。