絶対にずっと好きだと証明しましょう

「もうすぐ冬休みだけど帰ってくる?」

アメリカの大学は長期休暇の間は寮も閉まってしまうので、アメリカ人の学生はほとんど帰省する。
留学生も一時帰国するか、ほかに泊るところを探さなくてはならない。

「ジェームスの家に泊めてもらうことにした。カリフォルニアで暖かいしジェームスがいろいろ案内してやるって張り切ってるし」
「いいなあ。じゃあUCLAでステンレスボトル買ってきて」
「本当に? なんでみんなステンレスボトルが欲しいわけ?」
「ユーゴさんに対抗して」
「いいよ、もし行ったら買ってきてあげるよ」

それから樹は大学の友達や講師や勉強のことなど、楓はユーゴの会社での仕事の話や大学の話などを話して電話を終えた。
最後に冬休みは課題がないからちゃんと連絡くれるよね、と念を押そうと思ったが、押しつけがましい感じがしてやめておいた。

そして冬休み。
樹は課題がない代わりにジェームスとあちこち遊びに行って忙しかったようで、樹が楓に電話をくれたのはかろうじてクリスマスと正月だけだった。

クリスマスの時にはジェームズと家族までが電話に出てきて、メリークリスマス、カエデ!と叫んでくれたが、時差で日本はもう26日の昼すぎで、部屋でぼうっとしていた楓は盛り上がりについていけなかった。

カウントダウンのときにはジェームズの家に集まった友人がかわるがわる画面に登場してカエデー、ハッピーニューイヤー!を連呼した。
日本は元旦の夕方で、楓は家族と正月番組をへらへらと見ていたときだったのでやはり電話の向こうの興奮状態とはギャップがあった。